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【コラム】 コンテナの番号、形式のきまり 〜ISO 6346:2022について〜
 

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海上コンテナにはコンテナや形式の識別のため”XXXU 123456 7”や”45G1”といった表記が記載されている。
こうした表記は、コンテナの所有者や番号、形式を表しており、国際規格であるISO 6346によってルールが定められている。

なおISO 6346は、2022年に従来の第3版(ISO 6346:1995およびISO 6346:1995/Amd3:2012)が改定され、第4版(ISO 6346:2022)が発行された。このコラムでは、従来の第3版からの変更点についても紹介しつつ、コンテナの識別に関する決まりを定めたISO6346について、簡単にまとめた。さらに、形式については、ホームページ内に掲載されている画像が検索できるよう対応した。

※ISOの原本はISOのサイトから購入することができます。規格についてさらに詳しく知りたい場合は、原本を確認して頂くようお願い申し上げます。



0. 第4版の変更点


既に第3版(ISO 6346:1995およびISO 6346:1995/Amd3:2012)をご存知の方のために、第4版(ISO 6346:2022)における主要な変更点を以下にまとめた。

・幅広コンテナの注意書きに関する規定が追加
・サイズコードの1桁目、45ftが”L”→”5”に変更
・サイズコード2桁目がコンテナ形状と幅に応じて細分化
・タイプコードに折り畳み式コンテナの”W”が追加
・タイプコードB6(BV)、B7(BW)、R5(RM)、R7(RW)、R8(RX)、H8(HX)の登録内容変更 [*Amd3:2012ではUnassigned]


1. ISO6346で規定されているものの概要


国際貨物輸送で使用されるコンテナには、側面や扉面、上面などにコンテナの番号や形状、注意書きなどが表記されている。


図:コンテナに記載されている表記の概要。(原本をもとに筆者作成)

ISO 6346では、このようなコンテナの番号や注意書きの基本的な項目を規定している。大きく分けると、コンテナの識別番号、大きさと形状による分類、その他取り扱い上必要な表記などである。コンテナの番号については、「2. コンテナの番号」で詳しく解説する。取り扱い上必要な表記として、以下のものが記載されている。


図:Operational marks (原本をもとに筆者作成)

・重量に関する表記 (MAX GROSS, TARE, PAYLOAD)

コンテナの扉面に記載されている。最低でも50 mm(2 in)以上の大きさで表記することとされている。
MAX GROSS:最大積載重量。コンテナの自重を含む
TARE:コンテナの自重
PAYLOAD:コンテナ内に積載できる最大重量
このほか、ISO6346では規定されていないが、内容積(CUB.CAP)なども記載されている。

・空陸海輸送コンテナ用の表示 (Air/Surface container symbol)

積載に制限がある空陸海輸送コンテナに必要な表記が規定されている。扉面、側面、および屋根の左上隅に配置する必要がある。シンボルの大きさについても細かく規定されている。

・コンテナの頭上の電気的危険を警告する表示 (Warning sign of overhead electrical danger)

はしごを備えたコンテナの頭上の電気的危険を警告する表示。はしごに隣接した位置に掲示する必要がある。

・背高コンテナの表示 (Height mark for containers higher than 2.6 m (8 ft 6 in))

ハイキューブコンテナなど、2.6m (8'6”) を超えるコンテナに表示が義務付けられている。メートルと、ヤードポンド法で表記される。

・幅広コンテナの表示 (Width mark for containers with an overall width greater than 2.438 m (8 ft))

ISO6346:2022より追加。パレットワイドコンテナなど、2.438 m (8 ft)を超える幅を持つ幅広コンテナに表示が義務づけられている。メートルと、ヤードポンド法で表記される。メートルは小数点2桁まで記載が必要。コンテナの前面、扉面に表示することとなっている。


2. コンテナの番号


コンテナの番号は以下のような表記となっており、コンテナの各面にそれぞれ記載されている。100 mm(4 in)以上の大きさで記載するよう定められている。それぞれのコードの意味について解説する。


① 所有者コード (owner’s code)

アルファベット3文字で表記。コンテナの登録者を一意に表すコード。所有者コードは、フランスにある国際機関Bureau International des Containers et du Transport Intermodal (BIC)が登録・管理している。


② カテゴリー識別子 (category identifier)

アルファベット1文字で表記。以下の3文字が規定されている。コンテナでは通常"U"が用いられる。
U:全ての貨物コンテナ
J:脱着可能な貨物コンテナに関連した装置
Z:トレーラーやシャーシ


③ コンテナ番号 (serial number)

6桁の数字。コンテナ固有の番号を表す。6桁未満の数字の場合は、”0”をつけて6桁にするよう定められている。(例:“1234”→“001234”)


④ チェックデジット (check digit)

1桁の数字で、コンテナ番号が正しいかを識別するもの。四角で囲うこととされている。所有者コード、識別子、コンテナ番号などから自動的に算出できる。チェックデジットの計算方法などは、こちら (外部サイト)などで詳しくまとめられている。

なお、上記の②と③、③と④の間は1文字以上間隔をあけることが決められている。


⑤ サイズコード (size code)

2桁のアルファベットもしくは数字で表される。1桁目はコンテナの長さ、2桁目はコンテナの幅、高さを表している。
2022年発行の第4版では、付番規則に変更があった。最新版(ISO 6346:2022)を以下に示す。

1桁目:コンテナの長さ
ISO 6346:2022から、45ftが”L”→”5”に変更となった。45ftコンテナの普及が要因と考えられる。

mm ft in No.
2991 10 1
6058 20 2
9125 30 3
12192 40 4
13716 45 5
Unassigned 6
7
8
9
7150 A
7315 24 B
7430 24' 6" C
7450 D
7820 E
8100 F
12500 41 G
13106 43 H
13600 K
Unassigned L
14630 48 M
14935 49 N
16154 53 P
Unassigned R


2桁目:コンテナの幅、高さ
ISO 6346:2022から、コーナーフィッティング間の幅とコンテナ全体の幅に応じた区分けがなされた。以下の図、A、B、C、Dのパターンによって区分けされている。

コンテナ
高さ
コーナーフィッティング間の幅
2438 mm
コーナーフィッティング間の幅
2438 mm以上
全体の幅
2438 mm
全体の幅 >2438 mm
& ≦ 2500 mm
全体の幅
≦ 2500 mm
全体の幅
>2500 mm
mm ft in Diagram A Diagram B Diagram C Diagram D
2438 8 0
2591 8' 6" 2 R C L
2742 9 4 S D M
2896 9' 6" 5 T E N
> 2896 > 9' 6" 6 U F P
2438 > h > 1219 8 > h > 4 7
1295 4' 3" 8
≦ 1219 ≦ 4 9



図:幅による分類分け。(原本を基に筆者作成)


⑥ タイプコード (type code)

コンテナの形式を表す。用途や種類によって細分化されている。
改訂のたびに見直しが行われており、2012年の修正では、タンクコンテナが"T"から"K"に変更される、規定の積重強度/横剪断強度型(Type code a)と低積重強度/横剪断強度型(Type code b)の区分けされるといった大きな変化があった。

ISO 6346:2022の大きな変更点として、折り畳み可能なコンテナとして”W (W0,WA,W1,WB)”が追加されたことが挙げられる。近年登場した4FOLD - The Foldable Shipping Container -や、STAXXONのような折りたたみ式コンテナへの対応と考えられる。このほか、形式の分類で細かい修正が行われている。

タイプコードの分類は以下の通り。2012年版からの修正点は太字で記載した。
また、サイト内に掲載済みの形式については、画像検索できるよう対応した。
  
コード 種類 グループコード 主要な特徴 Type code(a) Type code(b)
G ベンチレーターなし一般コンテナ
GP 片妻または両妻開き G0 GA
上部に受動換気孔つき G1 GB
片妻または両妻開き、さらに長手方向の片側または両側全面開き G2 GD
片妻または両妻開き、さらに長手方向の片側または両側一部開き G3 GG
UnassignedG4 GJ
G5 GM
G6 GV
G7 GW
G8 GX
バルク機能つき G9 GY
V ベンチレーターつき一般コンテナ
VH コンテナの上下部に機械なしの自然換気方式を採用したもの V0 VA
Unassigned V1 VB
コンテナ内部に換気用機械を設置 V2 VD
Unassigned V3 VG
コンテナ外部に換気用機械を設置V4 VJ
Unassigned V5 VM
V6 VV
V7 VW
V8 VX
V9 VY
B 乾燥ばら積みコンテナ
非加圧、箱型 BU 閉鎖型 (Closed) B0 BA
気密型 (Airtight) B1 BB
Unassigned B2 BD
後部小窓排出構造 B3 BG
後部排出構造 / 全幅開口B4 BJ
後部排出構造 / 全幅固定 B5 BM
全長ヒンジ式ハッチのついた取り外し可能なハードトップ、および全長・全幅のボトムディスチャージつき B6 BV
オープントップコンテナ 全長・全幅の底面排出が可能なもの B7 BW
前面排出 / 全幅 B8 BX
側面排出構造B9 BY
S 特定貨物・非貨物輸送コンテナ
特定貨物 SN 家畜輸送用 S0 SA
自動車輸送用 S1 SB
鮮魚輸送用 S2 SD
Unassigned S3 SG
非貨物輸送コンテナ SC 発電用 S4 SJ
Unassigned S5 SM
Unassigned S6 SV
S7 SW
取扱注意の据付装置用の非貨物輸送コンテナ S7 SX
住居または商用の非貨物輸送コンテナS9 SY
R サーマルコンテナ
冷蔵 RE 機械式冷蔵 R0 RA
冷蔵&加温 RT 機械式冷蔵&加温 R1 RB
電源内蔵型 RS 機械式冷蔵 R2 RD
機械式冷蔵&加温 R3 RG
Unassigned R4 RJ
機械統合型 RI 機械統合型冷蔵 R5 RM
Unassigned R6 RV
加温 RH 加温 R7 RW
電源内蔵型加温 R8 RX
Unassigned R9 RY
H サーマルコンテナ
脱着可能な機器で冷蔵および/または加熱 HR 熱伝達係数K = 0.4 W/(m2・K) H0 HA
脱着可能な機器を内蔵。 H1 HB
熱伝達係数K = 0.7 W/(m2・K) H2 HD
Unassigned H3 HG
Unassigned H4 HJ
断熱型 HI 熱伝達係数K = 0.4 W/(m2・K) H5 HM
熱伝達係数K = 0.7 W/(m2・K) H6 HV
Unassigned H7 HW
Eutectic HE 遠隔機器による冷蔵 H8 HX
Unassigned H9 HY
W 折りたたみ可能コンテナ
折りたたみ可能な一般コンテナ WR 基本骨格で折りたたみ可能 W0 WA
WS 側面で折りたたみ可能 W1 WB
Unassigned W2 WD
W3 WG
W4 WJ
W5 WM
W6 WV
W7 WW
W8 WX
W9 WY
U オープントップコンテナ
UT 片妻または両妻開き U0 UA
片妻または両妻開き、さらに扉上部はりは着脱式 U1 UB
片妻または両妻開き、さらに片側または両側も開く構造 U2 UD
片妻または両妻開き、さらに片側または両側も開く構造で、扉上部はりは着脱式 U3 UG
片妻または両妻開き、さらに片側側面は部分的に開き、反対側側面は全体に開く構造を有するものU4 UJ
Unassigned U5 UM
屋根板の吊上げ取外し式 U6 UV
Unassigned U7 UW
U8 UX
コイル輸送用 U9 UY
P プラットフォームコンテナ
不完全な構造を有するプラットフォーム PL プラットフォーム(注:床だけの構造) P0 PA
固定型 PF両妻壁固定 P1 PB
隅柱独立固定 P2 PD
折りたたみ可能 PC両妻壁折たたみ式 P3 PG
折たたみ式の独立した隅柱P4 PJ
全体が骨格を基本とした構造 PS オープントップ、オープンエンド P5 PM
特定貨物用 PT 船舶用ギア輸送用 P6 PV
自動車輸送用 P7 PW
木材・パイプ輸送用P8 PX
コイル輸送用 P9 PY
K 加圧タンクコンテナ (気液)
KL 規制対象外製品用液体タンク K0 KA
危険物液体。最大圧力2.65 bar以下 K1 KB
危険物液体。最大圧力は2.65 barより大きく10 bar以下 K2 KD
危険物液体。最大圧力は10 barより大きい K3 KG
規制対象外製品用液体タンクで、電源を必要とするものK4 KJ
危険物液体。最大圧力は10 bar以下で、電源を必要とするもの K5 KM
危険物液体。最大圧力は10 barより大きく、電源を必要とするもの K6 KV
極低温タンク K7 KW
ガスタンクK8 KX
Unassigned K9 KY
N 加圧・非加圧タンクコンテナ (Dry)
NH ホッパ式・垂直排出構造 N0 NA
ホッパ式・後部からの排出構造 N1 NB
Unassigned N2 ND
NN非加圧式、後部からの排出構造 N3 NG
非加圧式、側面側からの排出構造N4 NJ
非加圧式、前面部側からの排出構造 N5 NM
Unassigned N6 NV
NP 加圧式、後部からの排出構造 N7 NW
加圧式、側面側からの排出構造 N8 NX
加圧式、前面部側からの排出構造 N9 NY
A 空陸海輸送コンテナ
AS A0


なお、表に割り当てられていないものの、重要な特性を持つコンテナにコード番号が必要な場合は、ISO/TC によるコード番号の割り当てが保留されるまで、最適な分類の中で割り当てられていない最大の番号を使用する。
また、コンテナの種類に関連するその他の特性が特定されていないか不明な場合、その種類は、表のグループコードによって識別されるものとされている。

さらに一部の形式では、1995年版、2012年修正版、2022年版それぞれで形式コードの意味する区分が異なるケースも見られる。例えばB6形式の場合、1995年版では「Tipping discharge, test pressure 265 kPa」、2012年版では「Unassigned」、2022年版では「with removable hard top equipped with full length hinged hatch, and full length and width bottom discharge」となっている。従来、B6形式はタンク型のバルクコンテナを意味していたが、2012年版でタンク型のバルクコンテナはBからNに変わったことで、しばらくの間B6形式は使われなくなり、その後2022年にハードトップタイプのコンテナに付与されるようになった。こうした例があるため、コンテナの形式を判断する際は、コンテナが製造された年代にも注意する必要がある。




【参考】

ISO 6346:1995 Freight containers — Coding, identification and marking
ISO 6346:1995/Amd 3:2012 Freight containers — Coding, identification and marking — Amendment 3
ISO 6346:2022 Freight containers — Coding, identification and marking


・・・ご意見・お問い合わせなどはメールまたはtwitter(@usenoforklifts)まで。

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